柱のないリビングは、構造と間取りの条件が合えば実現できます。ただし、必要な柱を単に省くのではなく、柱や梁などの配置と大きさを検討し、室内の途中に柱が出ないように設計することが前提です。
「ソファから庭まで見渡したい」「ダイニングとリビングを分けずに使いたい」など、柱をなくして何をしたいのかも整理しておきましょう。畳数だけで決めず、家具を置く場所、窓や収納、天井の高さまで合わせて考えると、希望する空間と実際の暮らしを結び付けやすくなります。
柱のないリビングは建物全体の構造計画でつくる

見える柱がないことと構造材がないことは別
柱と梁で支える建物では、柱が縦方向の骨組みとなり、梁が横方向に架かって床や屋根の重さを支えます。リビングの中央に柱が見えなくても、壁の中や部屋の周囲、天井裏などに建物を支える部材があります。
そのため、柱のない空間は「支えをなくした部屋」ではありません。くつろぐ場所や通路を避けて柱を配置し、必要な梁などと組み合わせて成立させる空間です。完成後の写真で柱が見えないことだけでは、建物がどのように支えられているかまでは分かりません。
参照:DAIKEN「梁見せ天井でおしゃれなリビングに」
何畳までつくれるかは面積だけでは決まらない
柱のないリビングをどこまで広げられるかは、部屋の形や柱の間隔、梁の材料・大きさ、支える重さなどによって変わります。柱などの支点の間隔を「スパン」と呼び、これが長くなるほど、一般に梁の高さも大きくなる傾向があります。
参照:DAIKEN「梁せい」
形の違いを考える例として、4m×6mの部屋も3m×8mの部屋も、面積は24㎡です。それでも、どちらの方向に梁を架け、どこで支えるかによって検討する条件は異なります。この数字は形を比べる例であり、柱なしで実現できる寸法を示すものではありません。
「LDKは何畳ほしい」という希望に加えて、部屋の縦横の長さと、柱を置きたくない範囲を伝えてください。上の階にどのような部屋が載るかも含め、建物全体の計画で実現できる広さを確認します。
重量鉄骨と木造は工法ごとの実現条件を比べる

鉄骨住宅でも柱や補強材の配置を確認する
鉄骨住宅だから、すべての壁や柱を自由になくせるわけではありません。柱・梁の配置に加え、採用する工法に応じて、地震や風による力に抵抗する仕組みも必要になります。
例えば、ブレース構造は、柱と梁でつくる枠に斜めの補強材を入れる方式です。補強材が入る場所では、窓や出入口の配置が制約を受ける場合があります。「広いリビング」と「壁一面の窓」を希望するなら、両方を同じ図面で検討する必要があります。
参照:DAIKEN「ブレース構造」
設計の説明を受けるときは、室内に出る柱だけでなく、壁の中の補強材も示してもらいましょう。どこを開けられるかに加え、将来も残す必要がある場所を把握しておくと、窓や収納の計画も進めやすくなります。
木造にも大空間をつくる工法がある
木造だから柱のないリビングはつくれない、というわけではありません。例えばSE構法は、集成材や専用の接合金物などで骨組みをつくり、構造計算を行う木造の工法です。必要な耐力壁も組み合わせながら、柱や壁の少ない大空間を計画します。
参照:エヌ・シー・エヌ「耐震構法SE構法とは」
比較したいのは、「木造か鉄骨か」という名称だけではなく、希望する部屋の形、柱や補強材の位置、窓の取り方、予算です。各社に同じ希望を伝え、できることと制約を図面で説明してもらうと、違いを判断しやすくなります。
構造ごとの条件を踏まえて、重量鉄骨でどのような空間を考えられるか知りたい方へ。
重量鉄骨の特徴と間取りの考え方を見る
広いLDKは家具と通路を入れた状態で判断する
ソファ・テーブル・椅子を置いて動きを確かめる
図面では柱がなくても、家具を置いた後に通路が狭くなるなら、希望していた使い方とずれてしまいます。ソファ、テレビ台、ダイニングテーブルを実際に使う予定の寸法で描き込み、残る空間を確認してください。
ダイニングでは、テーブルの大きさだけでなく、椅子を引いた状態で後ろを通れるかを見ます。リビングでは、ソファの前を横切らずに窓や隣の部屋へ移動できるか、収納の扉を開けても通路をふさがないかまで確かめましょう。
例えば、キッチンとダイニング、リビングを一列に並べる案なら、配膳の経路とソファでくつろぐ場所が重ならないかを検討します。柱の本数を数えるより、家族が食事や片付けをしている場面を図面に重ねる方が、使い勝手を具体的に判断できます。
窓を増やす場所と壁を残す場所を決める
壁を減らして大きな窓を設けたいときも、テレビや収納をどこに置くかは同時に考えます。窓の前には何も置かないつもりでも、ほかに収納場所がなければ、暮らし始めてから家具で窓をふさぐ計画になりかねません。
庭を眺める側には視線の通る空間を確保し、反対側にはテレビや収納をまとめる、といった配置案を比べてみてください。リビングとダイニングの境目など、柱が残っても使い方を妨げにくい場所がないかを検討するのも一案です。柱の配置を変えられるかは、設計者に確認します。
ソファやテーブルを壁から離して置くなら、電源の位置も先に決めます。スマートフォンの充電、掃除機、ホットプレートなど、どの場所で何を使うかを書き出し、壁面のコンセントで足りるかを確認してください。床用コンセントを検討する場合も、家具を動かした後の使い方まで含めて位置を決めましょう。
参照:パナソニック「コンセント リフォームの基本と選び方」
柱を減らすときは天井・空調・費用も一緒に比べる
梁の位置と仕上がりの天井高さを確認する
柱の間隔を広げるために大きな梁が必要になる場合、天井の納まりにも関わってきます。梁の高さを表す「梁せい」が大きくなると、その梁を天井の上に納めるのか、室内に下がる部分を設けるのかといった検討が必要です。
参照:DAIKEN「梁せい」
平面図だけで決めず、建物を縦に切って高さを示す断面図などで、床から天井までの高さを確認してください。梁の下だけ低くなる場所があるなら、ソファやダイニングの真上なのか、空間の境目なのかも見ておきます。「柱がなく、天井も全面同じ高さ」とは限らないため、両方の希望を初めに伝えておきましょう。
エアコンは畳数だけで選ばない
広いLDKの冷暖房を考えるときは、床面積に加え、断熱性能や日当たり、窓の大きさなども確認します。大きな窓から入る日射を考慮せずに機種を選ぶと、必要な冷房能力が足りない場合があります。柱の有無ではなく、その部屋の条件に合う空調計画が必要です。
参照:ダイキン「お部屋に合ったエアコン畳数を選んで省エネと快適を両立」
設計者や設備担当者には、LDKだけを冷暖房するのか、開放した階段や隣の空間まで一緒に使うのかも伝えてください。エアコンの設置場所が家具や窓とぶつからないかを含めて、間取りと設備を一緒に確認します。
柱のない案と柱を残す案を同じ条件で見積もる
柱を減らす計画の費用は、柱の本数だけでは比較できません。どの部材や工事が変わるのか、梁や接合部、基礎などの計画に違いがあるかを確認し、建物全体の見積もりで判断してください。
比較する際は、部屋の面積や設備・仕上げをできるだけそろえ、「柱を室内に出さない案」と「使い方を妨げにくい場所に柱を残す案」の差を見ます。柱がなくなる代わりに天井高さが変わる場合は、その違いも比較項目です。
費用を抑えるために、耐震性の確認や必要な補強を省くという選び方はしません。広さや柱の位置、窓の幅など、希望のどこを調整すれば予算に収まるのかを、設計者と検討しましょう。
相談前に柱を避けたい場所と使い方を整理する
「柱を全部なくしたい」という希望を、そのまま条件にする前に、どの場所で何をしたいのかを言葉にしてみてください。設計の相談では、次のように分けて伝えると、比較する案を整理しやすくなります。
- 柱を避けたい場所:ソファから庭への視線、ダイニングの通路、子どもが遊ぶ範囲など
- 柱を残せるか検討したい場所:収納の横、キッチンとリビングの境目、テレビを置く壁際など
- 合わせて守りたい条件:置きたい家具の寸法、窓の位置、天井の高さ、収納量、建築予算
参考写真を持参する場合も、「この家と同じにしたい」だけでなく、どこにひかれたかを伝えます。庭まで見通せる点なのか、家具の配置なのかによって、必要な間取りの条件は変わります。写真の家の寸法や構造を、そのまま自分たちの計画に当てはめないことも大切です。
なお、新築時に柱のない空間を設計することと、既存住宅の柱や壁を取り除くことは別です。リフォームでは、建物を支える柱や耐力壁などを外観だけで見分けて撤去せず、図面と現地の状態を設計者に確認してもらってください。残す必要がある部材を前提に、家具や収納の配置で使いやすくする案も検討します。
参照:DAIKEN「耐力壁」
重量鉄骨の自由設計で柱の少ないLDKを検討する
当社は、住宅1棟ごとの構造計算に基づいて家づくりを進めています。採用している重量鉄骨工法は、壁面・床面にブレースを設ける方式です。柱や梁、補強材を適切に配置することを前提に、広い室内空間や大きな窓など、ご希望に合わせた住まいをご提案しています。
自由設計のプランには、2階建ての「葵」と3階建ての「葵Ⅲ」があります。プラン紹介では、それぞれの特徴をご覧いただけます。
ご相談の際は、希望するLDKの広さだけでなく、置きたい家具と柱を避けたい場所、ご予算もお聞かせください。敷地や建物全体の条件を確認しながら、柱を出さずに確保したい範囲と、ご予算に合う間取りを具体化していきます。
広いLDKを含め、ご希望に合う重量鉄骨の住まいを具体的に検討したい方へ。
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